輝く我が名ぞ阪神タイガース

世の中には「ドM」と呼ばれる人種が一定数存在する。

それは多種多様な領域に於いて発現するものであり、70億人いれば70億通りのマゾが見受けられるわけである。

 

何を隠そう私もドMである。そして私のマゾが遺憾無く発揮される分野が、プロ野球である。

 

 

そう、私は阪神ファンなのである。

 

阪神タイガース読売ジャイアンツと並び職業野球黎明の時代から我が国の野球の歴史を支えてきた伝統ある球団であるが、ジャイアンツの栄光の影で辛酸を舐め続けてきた。

 

読売ジャイアンツ

古くは王・長嶋を中心に驚異的な強さを誇った日本シリーズV9時代。当時の子供たちが好きな物を3つ並べた「巨人・大鵬・卵焼き」という言葉はもはや説明不要であろう。近年でも阿部慎之助坂本勇人、岡本和真などコンスタントにスターを輩出し、その人気は衰え知らずだ。巨人ファンはスターの躍動に息を呑みながら、勝利の美酒に毎年のように酔いしれる。羨ましい限りである。

 

一方で阪神タイガース

長い歴史の中で日本一はただ一度。そう、並び称される巨人が9連覇をも果たした日本シリーズで一度しか勝てていないのである。縋るべき過去の栄光といえば、1985年のその日本一にまで遡ってしまうのである。だからこそいつまでも、この年の主力としてチームの躍進を支えたランディ・バースに拘泥してしまうのである。メディアもファンも、毎年のように来日しては帰国していく体の大きな外国人助っ人野手を「バースの再来」と持て囃してはその期待値とのあまりの乖離に落胆するのを、この1985年から早35年も繰り返しているのである。(そもそもバースが偉大すぎてその期待値を越えられるような助っ人はそうそういないが、バースとの比較抜きにしてもからっきしな成績しか残さない外国人ばかり連れてくる阪神のスカウトの目はある意味一級品である。)

だが、阪神タイガースの悲惨さはそれに留まらない。巨人がコンスタントに生え抜きのスターを輩出している裏で、近年阪神から生まれた生え抜きのスターは赤星憲広鳥谷敬藤川球児ぐらいのものではないだろうか。(個人の見解です。)よく巨人は資金力にものをいわせたFA戦略にしか目がなく、育成力が低いなどと言われるが(私が勝手に言っているだけかもしれないけれど)、それは超特大ブーメランとして阪神タイガースに突き刺さってしまう。

また、1990年代には目も当てられない暗黒時代を経験した。名将野村克也をして3年連続最下位という低迷ぶりだった。

2000年代には二度リーグ優勝したものの、日本シリーズで勝ちきれない。それどころか、2005年の日本シリーズ、対ロッテにおいてあまりにも有名であまりにも不名誉な大記録を打ち立ててしまう。

 

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そう、ご存知、33-4である。

 

悲しくなってきたので説明は控えるが、おそらく永久不滅の記録だろう。24連勝したあの田中将大も恐れおののくレベルの大記録だ。

 

他にも不名誉な伝説はいくつもある。前述のバースの再来は毎年メディアの用いる常套句と化し、それが軒並み活躍しない様を揶揄して「バースの再来の再来」などと言われている。

 

2008年には開幕から首位をひた走り、優勝マジックが点灯。ファンもメディアも阪神の優勝を信じて疑わず、「Vやねん!」と銘打たれた出版物まで刊行された程だ。その後、嘘みたいに負けまくり巨人に大逆転優勝を許してしまう

(余談だが、件のVやねん!はこの通り今や1万円越えのプレミア商品である。さすがは関西人。商魂がこもっている。)

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阪神ファンはフラグ建築とお笑いが大得意なのだ。

 

ここまで沢山書き連ねてきたが、つまりまとめるとこうである。

 

阪神タイガースは弱いのである。

 

巨人やソフトバンクのキャンプ地である宮崎で生まれ育ちながら、なぜ阪神ファンになってしまったのか。ドMだからとしか説明しようがないのである。巨人に負けて負けて負けまくって、外国人野手を外して外して外しまくって、即戦力外ドラフトを繰り返して、エラーにエラーを重ねて、他球団ファンに馬鹿にされて。それがもはや癖になってしまっている部分がある。

 

だが、私は多分一生阪神タイガースが好きだ。

これからも、負けたらこの世の終わりのように絶望し、勝ったら優勝したかのように狂喜乱舞する躁鬱な野球ファン人生を送っていくのであろう。

今年もダメかもしれない。ライバルの巨人が開幕から首位をひた走る一方で阪神は最下位をひた走っている。。。

 

それでも!!

 

六甲颪がこの国にこだまし続ける限り、いつか来る栄光を夢見て私は阪神タイガースを応援する。